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大阪地方裁判所岸和田支部 昭和47年(ワ)37号 判決

主文

一、被告らは原告に対し、別紙目録記載の農地について、府知事に対し農地法三条による所有権移転の許可申請手続をなし、その許可があつたときは原告に対し所有権移転登記手続をせよ。

二、原告その余の請求を棄却する。

三、訴訟費用はこれを四分し、その一を原告の負担とし、その余を被告らの負担とする。

事実

原告訴訟代理人は

「一、被告らは別紙目録記載の農地(以下本件農地と称する)が原告の所有であることを確認する。

二、被告らは原告に対し本件農地について農地法三条所定の許可申請手続をなしその許可のあつたときは所有権移転登記手続をせよ。

三、訴訟費用は被告らの負担とする」

との判決を求め、請求原因として、

「一、原告は、昭和二四年九月六日訴外植田久澄より本件農地を代金一〇万円で買受け、代金は同日支払、爾来原告において本件農地を耕作している。

なお、右売買契約と同時に、右訴外人は農地法三条の所有権移転の許可申請手続をなし、その許可があつたときは所有権移転登記手続をすることを約定した。

二、訴外植田久澄は昭和四〇年七月一〇日死亡し、被告らにおいてその権利義務を承継した。

三、ところが被告らは前一項の売買契約を争い、農地法三条の許可申請手続をせず、その移転登記手続に協力しないので請求の趣旨記載通りの判決を求める。

四、仮に右主張が理由ないとしても、原告は昭和二四年九月六日以後本件農地を所有の意思を以つて平穏且つ公然に占有し、その占有の始め善意で過失はなかつたから一〇年を経過した昭和三四年九月七日に、又仮に右占有取得に過失があつたものとしても二〇年を経過した昭和四四年九月七日に時効により本件農地の所有権を取得したので、本訴において右時効を援用する。よつて前項と同様の判決を求める」

と述べ、

被告ら訴訟代理人は「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする」との判決を求め、答弁として

請求原因事実のうち二項を認める外はすべて否認すると述べ、なお、商業を営む原告は農地法により農地の取得はできないし又農地法三条の許可は府知事の裁量によるものでその発動を裁判上請求することはできないと述べた。

証拠(省略)

別紙

目録

和泉市太町六番の一

一、田 四畝二三歩

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